知事、「穴あきダム」を選択・最上小国川の治水

エル・エー・ビー

2006年11月29日 17:42


 最上町赤倉地区の最上小国川の治水手法について、斎藤弘知事は29日の記者会見で「穴あきダム」工法を選択すると発表した。計画実施にあたり工期の短縮、費用の圧縮などの工夫を行うほか、環境面に配慮するための組織を設ける考えを明らかにした。

 住民のほか専門家も含めて活発に繰り広げられた賛成、反対のダム論議は、知事の最終判断により一応の区切りを迎える。斎藤知事は近く、最上圏域河川整備計画(知事管理区間)の変更手続きを行う。斎藤知事は現地での降水量が増加傾向にあることや、治水協議が長期化していることを挙げて「県民の生命と財産を守るには早期の対策が必要」と強調。工法に工夫を施すことで予定工期を短縮するほか、削減で浮いた県負担分の費用を地域活性化策に回す方針を示した。

 河道改修、放水路の2案との比較では、穴あきダム案の工期が短い上、総事業費が最も少なく、費用対効果でも優れているという国土交通省の試算をもとに「最も適している」と述べた。

 環境対策としては、最上小国川流域環境保全監視協議会(仮称)の設置を提唱。有識者や漁協関係者を含めたメンバーで構成し、工期中の立ち入り調査権を持たせるとした。

 ダム建設に反対を表明している小国川漁協に対しては「反対意見を斟酌(しんしゃく)した上での結論。漁業補償はこれからの課題」とした。

 穴あきダムは、今月2日に最上川水系流域委員会(委員長・高野公男東北芸術工科大教授)が知事に提言した案。地元小委員会(座長・大久保博山形大教授)は今年5月までの議論で、河道改修、放水路、穴あきダムの3案について検討を重ね、工期や環境などを考慮した結果から穴あきダム案を選択した。流域委はこれを妥当とする意見書をまとめた。

 国土交通省の試算によると、穴あきダム案は赤倉温泉下流の河道改修を含め工期は18年、総事業費は130億円。放水路、河道改修単独の2案に比べて優位で、費用対効果も上回っている。

山形新聞より